株式投資の最重要スキルは「適正価格を把握するスキル」

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株式投資で儲けるために、どんなスキルを身につけたらいいのか、よくわからない方へ。

株式投資を始めようと決意した方が最初に抱く疑問は「何をすればいいの?」ということでしょう。そして「証券口座を開設して、入金して、株を売買すればいい」という事は、入門書や証券会社のウェブサイトを見て、すぐにわかると思います。

一方、株を始めて時間が経ってもなかなか解消されない疑問は「儲けるためには、何をすればいいの?」ということでしょう。「安く買って高く売ればいい」という意味ではなく、「儲けるためには何を勉強すればいいのか?」、「儲けるためにはどんなスキルを身に付けるといいのか?」といった類の疑問です。

投資で儲かるようになるためには、どのようなスキルを身につければいいのか、あなたは明確に認識していますか?

この「明確に認識すること」はとても重要です。身につけるべきスキルは入門者にとって当面の「ゴール」になるからです。「明確なゴール設定」ができれば、ゴールから逆算して「やるべき事」と「やるべきでない事」がはっきりと見えますし、「進捗」も把握できるようになります。

ゴールを明確にすることは、投資に限らず、ビジネスや勉強やスポーツなど他分野でも大切です。「適切にゴールを設定できれば、半ば達成したようなもの」との説明も時折見かけますが、そのぐらいゴール設定は大切だと意識されています。

しかし、入門者が適切にゴールを設定することは困難です。全体像を把握できない状態では、何をゴールに設定すべきなのか、適切に判断できない方が当たり前です。

そこでこの記事では「目指すべきゴール」、つまり「株式投資で儲かるようになるための最重要スキル」を明確にします。そしてスキルの獲得に必要なステップについても簡単に解説します。

私は運用担当者として株式を専門にこのスキルを磨きましたし、長年にわたり活躍している株式投資家に共通する最重要スキルと思います。

かつて偉大な師の下でこのスキルを徹底的に磨いた若者がいましたが、その若者が将来どうなったかというと…「世界一の投資家」になりました。

話を進める前に、一つ注意点があります。
今回のスキルは「投資家」の必須スキルであって「トレーダー」に求められるスキルではありません。その点は解説を読み進める前にはっきりと切り分けておいてください。

会社の適正価格を把握できるスキルが最重要

投資家にとって最も重要なスキルは「企業の適正価格を把握できるスキル」です。
つまり「トヨタ1社を丸ごと買うとすれば値段はいくら?」、「Apple社の適正価格はいくら?」という質問に対して、根拠をもって回答できるようになることです。

もちろん即答はできませんし即答の必要もありません。様々な角度から入念に精査した後に、会社の値段を把握できるスキルが求められるわけです。

株を買う事は企業の部分オーナーになる事です。そのため適正な値段を把握できるようになると「この会社の適正価格は1千億円だから、この会社の1000分の1を保有する場合は8千万円までは買い得」とか、「この会社の適正価格は500億円。1株あたりだと2千円だから、現在の株価5千円は割高」といった思考の流れになります。

つまり適正価格が「軸」になり、その軸と比較して株価が高いのか安いのかを判断できるようになるわけです。

株式投資とは「適正価格と市場価格のギャップから利益を得る行為」です。そして株の長期投資で儲ける(キャピタルゲインで儲ける)という事は、次のステップと言い換えることができます。

投資で儲けるとは
 1.適正価格を把握する
 2.適正価格と市場価格にギャップがあれば買う(適正価格<市場価格)
 3.その後、市場価格が適正価格より高くなれば売る(適正価格>市場価格)

このうち特に重要なのは、軸となる1の適正価格を把握するスキルです。適正価格を把握できるスキルが、優れた投資家に必須のスキルとお考えください。

トレーダーには重要でない

一方、トレーダーにとっては重要なスキルではありません。トレードでは、企業の適正価格をそれほど意識せずに売買するからです。

トレーダーが適正価格について多少意識するのは「他のプレイヤーの動きを予想する場面」です。例えば「今この銘柄は投資家達に適正価格よりも割安と考えられているだろうから、ここから下がってもロスカットは出にくいだろうな・・・」といった事が、頭の片隅にあるという程度です。

またトレーダーによってはノイズになることを嫌って、頭の片隅どころか「企業価値は一切考えないようにしている」という方も多くいます。私は投資もトレードも大好物ですが、両方を並行して楽しむ場合には特に、混同しないようにお気をつけください。

投資家にとっては効果絶大

投資である以上、リスクをゼロにすることはできません。しかし、適正価格をある程度把握できるようになると、失敗が少なくなります。また、適正価格という軸ができることで、相場に翻弄されず落ち着いた売買ができます。

そして、このスキルが高ければ高いほど、儲かる金額は比例して大きくなると考えますが、それには実例があるからです。かつて、偉大な師の下でこのスキルを磨いた若者がいましたが、その若者が将来どうなったかというと…世界一の投資家になりました。

バフェットです。バフェットは、近代ファンドマネージャーの始祖グレアムの弟子となり、トレーニングを重ねて企業の適正価格を把握するスキルを磨いた結果、投資家の中の投資家になったわけです。

以前バフェットが4兆円相当の株を寄付をして話題になった時、TVのコメンテーターが「どうすれば何兆円もの寄付できるようになるのか見当もつかない」と感想を漏らしていたのですが、私の回答は「天才(バフェット)が天才(グレアム)の下で企業の価値を把握するトレーニングを重ねた後に、投資に没頭して成果を出し続けたことで、5兆円の資産を築いたから」となります。

企業の適正価格を把握するスキルを圧倒的に高めると、その効果も圧倒的に大きくなるわけです。

脳力差と環境差を縮める方法

しかし、私達にはバフェットの頭脳はありませんし、師匠グレアムもいません。バフェットやグレアムに馴染みのない方に説明すると、仮にバフェットやグレアムの脳力を一般成人レベルにすると、私達の脳力はチンパンジー程度(3歳児程度)になると思います。

脳力と環境に差があることは事実ですが、だからといって私達に適正価格の把握ができないわけではありません。逆に、中学レベルの算数力と高校レベルの国語力があれば「修練によって誰にでも身につくスキル」だと思います。

まず環境面から言えば、「偉大な師の下」で企業を見る目を養う訓練ができる方は滅多にいませんが「偉大な師の考え」に触れることは誰にでも可能です。

グレアム、バフェット、プライスリンチなど、偉大な投資家達の手法や哲学については、詳細に研究・解説されているため、私達でも理解できます。

例えば、グレアムとドッドの「証券分析」を精読すればグレアム理論が理解できます。「賢明な投資家」を精読すればグレアムの哲学が理解できます。

最初に理論化と有効性を実証したグレアムは天才ですが、実証済の理論を理解することであれば、私達凡人にも可能です。

そして理解ができれば、それがオリジナルであれ後追いであれ、理解の効果に大差はありません。あえて違いをあげると、オリジナルを編み出した人の方が理論が深く身に染みているために応用もききやすい、といった所でしょう。

オリジナルでも後追いでも効果に大差がないため、偉人の理論や哲学を押さえた「後」に自分の能力と経験にあわせてオリジナルの投資手法を形作っていく方が、先人の叡智を押さえる「前」に自分のオリジナル手法を確立しようとするよりも圧倒的に効率的で、その分だけ失敗を減らして資産を築くことができる可能性が高まります。

自分にあった投資手法を確立する事は大切ですが、先人の知恵を押さえた上で行うことをおすすめします。

次に、脳力差を縮めるためのアプローチとしては「選択と集中」が有効です。「企業の適正価格」について考える際に、対象を「特定の業種」や「自分がよく知る業界」だけに絞り込むわけです。

絞り込みによって投資機会が減るというデメリットはありますが、脳力差を縮めるアプローチとしてはかなり有効です。

ちなみに私の投資手法はこの類で「戦略:極力戦わない」、「武器:一部業種企業の成長性を見る目」、「戦術:一点集中」です。「タコツボにこもって、竹槍を構えて、辛抱強く待って、目の前に獲物が来た時だけ竹槍を突き出す」といったイメージです。

投資機会が少ないという欠点はありますが、このタコツボ戦法は私にあっていたようで、15年以上、投資ではこの手法に特化しています。

スキル修得のステップ

企業の適正価格を把握できるようになるまでのステップと所要日数の概説です(詳細は別途執筆して後日掲載します)。前提として必要な能力は「中学レベルの算数力」と「高校レベルの国語力」です。

スキル修得のステップ、所要日数、費用など
 ・企業の決算書が読める(2週間)
 ・財務指標と株価指標がわかる(1ヶ月)
 ・有価証券報告書のポイントがわかる(2週間)
 ・企業の定性面の特徴がわかる(1ヶ月)
 ・企業が属する業界の動向がわかる(6ヶ月)

目安としては8ヶ月~1年ほどあれば、根拠をもって企業の適正価格について語れるようになるでしょう。

費用はほぼかかりません。本を何冊か買う程度です。セミナーやスクールに参加する必要性も私は感じません。「簡単な入門書から読み初めて、理解できた後、より詳しい本に進む」という一般的な学習スタイルで問題ありません。

そのほか必要なものは、ノートと鉛筆、電卓、表計算ソフト、ネット環境ぐらいです。つまり、お金も道具も特別なものは必要ありません。ネット環境は、決算書や株価情報などを入手するために必要ですが、このサイトを読んでいる時点で問題ないでしょう。

この修得方法の欠点と解決法

このスキル修得方法の欠点は「退屈」なことです。加えて、スキルの修得後に実践する投資も、ある意味これまた退屈です。

企業の適正価格を把握して買っても、買ってすぐに上がるわけではありません。「長期的に上がる可能性が高いけど、目先の上下はわからない」といったところです。

ちなみに、私がこの退屈を解消した方法はトレードでした。投資の勉強をしながら、企業の適正価格の把握に自信がつくまでは、トレードを楽しみました。

投資とトレードは「全く別のゲーム」なので混同は厳禁です。しかし、明確な切り分けができれば、投資との補完関係もあるのでトレードはオススメです。そこで次回は「投資とトレードの違い」についてまとめます。

まとめ(私の結論のまとめ)

  • 投資の最重要スキルは会社の適正価格を把握できること
  • スキルを高める事のリターンは青天井
  • スキルは修練により一般人でも修得できる
  • スキル修得に必要な期間の目安は8ヶ月ほど
  • スキルの修得にお金はかからない